ボデガス・オバロは2022年にフアン・カルロス氏の引退に伴い、英国出身のアンドリュー・ハリウェル氏が新たに醸造家として着任。昨年9月訪問時に直接インタビューしてきました。

>これまでの経験などを教えてください
実は私の社会人としてのスタートはITのエンジニアでした。ですがその後10年経って、ワインへの情熱が抑えられなくなったのです。そのためワイン醸造を学ぶために、まずアデレード・ヒルズ(オーストラリア)へ1年間滞在したのが2003年の頃です。それから栽培・収穫を学ぶべくさらに各地を訪れました。スペインでは8地域(トロ、リオハ、ナバーラ、チャコリ、ソモンターノ、テラ・アルタ、コステルス・デル・セグレ、カバ)へ、その他にもオーストラリア、インド、メキシコ、チリ、カナダ等のワイン産地へ行きました。
>様々な場所で経験を積んでいますが、印象的な場所はどこですか?
やはりリオハは素晴らしいと思います。なんといっても有名な産地であるし、広大な畑に個性的な小区画が点在している。クラシックタイプ(クリアンサ、レセルバ等)もあれば気軽なテーブルワインもある。ブドウの種類も赤白様々。この幅の広さが造り手の個性をより反映させることができます。
先日栽培農家の友人からテンプラニーリョ・ブランコの話があり、来年は造ってみようかなどと考えていたところです。
>ワインメイキングにおいて大事なことは?
全ては「ブドウ」から。ブドウが一番大事であることは絶対です。その中でも、収穫の見極めも重要になってくるし栽培やブレンド、樽選びなど、様々な過程で色々と複合的な要素がからんできます。ですが、挑戦は年1回しかできないので試行錯誤の繰り返し。もちろん失敗することもあるけれど「たくさん」でなければそれも経験、と(笑)。
>シンプルに一言でいうと自分にとって「ワイン」とは何ですか?
難しい質問ですね・・(苦笑)
ただはっきり言えるのは「歴史がある飲み物」ということ。フランス、スペイン、イタリアでは2000年以上のブドウ造りの歴史があるし、ただビールを飲むのとは違うということははっきりしている(ビールも好きで飲むけども)。スペインは山も海も地形は場所によって様々、文化や人々、各地域の多様性がつまっている国。当然それぞれのワインにはそれぞれの場所の文化が表現されています。
イタリアだってそうですよね。歴史的なバローロに行ってバローロのワインを飲むとその文化に触れることができる。
ということで、答えは「文化」でどうでしょうか。
>今後の展望などありますか?
これからは樽を主張させずにミネラル感やフローラルさを求めたスタイル、より「フレッシュさ」を求めたテイストを目指していきます。
ブドウについてもテンプラニーリョ以外、例えばグラシアーノなどもいれるようになるかもしれません。また、今はラインナップにないグランレセルバも検討しています。
それからラス・アレーナス(レセルバ)は現行のボルドーボトルからブルゴーニュボトルに変更予定です。ワインの世界は常に変化していき、新しいもの、変わったことを求められる世界でもあります。自分なりに試行錯誤して、今よりもっといいワインを造っていきたいと思っています。
エンジニアから、ワイン好きが高じて醸造家となったアンドリュー氏。会話の端々からワインを本当に好きなことが伝わってきます。これからの活躍を楽しみにしています。
PS.ちなみに、今までに飲んだ印象に残ったベストワインは、「シャトー・ペトリュス1992」だそうです。
ボデガス・オバロ / Bodegas Obalo(D.O.Ca.リオハ)
グループが手がける新プロジェクト。モダンリオハ。
ボデガス・オバロは2006年設立、ナイアやドミニオ・デ・アタウタなどスペインの有名ワイナリーを所有するテラセレクタグループのリオハで展開するワイナリー。標高400~700メートルの粘土石灰質土壌でシエラ・カンタブリアの傾斜に位置する42haの畑から造られます。サンビセンテ・ソンシエラやサマニエゴなどリオハの中でも有数の銘醸地に隣接しており、アバロ村にあることからワイナリーの名前の由来となっています。シエラ・カンタブリアの恵みを受け地中海性気候の理想的な環境のもと、伝統を尊重しながらモダンなワインに仕上げています。