ワインの師匠その1 フアン・カルロス「ボデガス・オバロ」
スペインの銘醸地リオハ出身のフアン・カルロスはいかにもベテラン、といった風格で人懐こそうな笑顔のダンディな紳士、ワイン造りに関しては真面目で聞くとなんでも丁寧に答えてくれる。
手元のメモにキーワードの単語を一語一語スペイン語で書きながら説明してくれる、私にとっては先生のような存在だ。真面目で一日中、ワインのことを考えているそう、寝ているときも頭から片時も離れないというのだからいつも真剣だ。
特に土曜日はワイナリーに人がいないので静かで集中できるといって出向いているそうだ。
この訪問当時は御年61歳、娘さんが一人いる。
オバロに着任したのは2016年だがそれまでアリオン(ベガシシリア)など名だたる著名ワイナリーで経験を重ねてきた。そんな彼の印象深かった名言を紹介。
スペインワインの特徴として、熟成期間に規定を設ける名称がある。リオハは特にその規定を名前につけているワインが多く、熟成期間の若いものから、ホベン(スペイン語で若いという意味)、クリアンサ、レセルバ、グランレセルバという順に期間が長くなっていく。
期間が長くなるほど長期熟成できる為ぶどうのポテンシャルは高く、スタイルもパワフルでフルボディ。
彼曰く、
ホベンは「わいわい仲間とカジュアルに楽しんで」と。
ではクリアンサは?「仲の良い友人と気兼ねなく」なるほど・・
ということはレセルバは?と聞くとちょっとキザな口調で「親友や恋人と密な時間を・・」とキメた。
一同「おお~!」と拍手。
ということは、さらに上のグランレセルバはどうなるんだ、と想像で盛り上がった。
が今のところオバロはグランレセルバを造っていない。もちろん造れるようになれば満を持して造るとのこと。
ロゼと赤ワインのラインアップなので白ワインを造って、と頼んでみた。「う~ん。悪くないね」との回答だったのでいけるかも?と思って何度かそのあともおしてみた。
「考えておくけど納得できるものが造れるまでは出さないよ」と一切妥協を許さない発言にますます期待が高まった。
そして3年後に本当に白ワインが誕生した! 飲んでみて予想以上のクオリティ、美味しい!
早速ラインで「有難う、フアンカルロス。白美味しいよ、あの時の話を覚えてくれていたんだね」とラインすると顔文字スタンプ( )のみの返答。はっきり言ってくれなかったけどそういうことと解釈しよう。
彼に現地で質問したことがある。
―フアンカルロス氏にとってワインとは?
「愛憎」とのこと。これにはすぐに返事が返ってきた(笑)。
この生産者について詳しく知る
グループが手がける新プロジェクト。モダンリオハ。
ボデガス・オバロは2006年設立、ナイアやドミニオ・デ・アタウタなどスペインの有名ワイナリーを所有するアバンテセレクタグループのリオハで展開するワイナリー。標高400~700メートルの粘土石灰質土壌でシエラ・カンタブリアの傾斜に位置する42haの畑から造られます。サンビセンテ・ソンシエラやサマニエゴなどリオハの中でも有数の銘醸地に隣接しており、アバロ村にあることからワイナリーの名前の由来となっています。シエラ・カンタブリアの恵みを受け地中海性気候の理想的な環境のもと、伝統を尊重しながらモダンなワインに仕上げています。