ワインサイドストーリーVol.6 ~アウサス編

ワインは人が造っている アウサス

ハビエル・アウサス……スペインワインの世界で最も有名な人物のうちの一人といっても過言ではない知る人ぞ知る醸造家。彼が有名になったのは言うまでもない、スペイン最高峰のワイナリー「ベガ・シシリア」の醸造長を25年務めたからだ。

「ウニコ」という方がなじみのあるかもしれない、一本数万円はくだらないスペインのロマネコンティと言われる愛好家垂涎の的という高級ワイン。スペインのワインショップに行ってベガシシリアを知らない店員に出会ったら”もぐり”だと思って間違いない。

醸造家 ハビエル・アウサスさん

2015年にベガシシリアを退職。フランスやスペインの著名なワイナリーのコンサルタントをしながら資金を集め、遂に自らのプロジェクト「アウサス」を立ち上げ、ファーストヴィンテージ2016年がリリースされた。

2018年10月に訪問した際はまだ小さなガレージワイナリーで、趣味で醸造している知人から場所を借りたという。
そしてベガシシリア時代の縁で質の良いぶどうを栽培農家から買って仕込んでいる。ちなみに発酵槽も知人から借りているものもあるそうだ。
言っていいのかわからないが、ぶどうを選ぶ専用テーブル(選果台)をベガシシリアから中古で売り出されたものを譲り受けたとかなんとか、とにかく周りからの援助がものすごい(それも大半が無料だそう)。

それはおそらくハビエルの持ち前の人柄、人脈の成せる技だろう。

物腰やわらかで気さくな人柄はハビエルさん(写真左)の大きな魅力のひとつだ

エチケットに”Ausas interpretación”という名を冠したのは、interpretación=「介入」「(自分なりの)解釈・演出」という意味で、「その年のぶどうにどう自分が関わっていくか、自分なりに表現するとこうです」とのことだ。
あくまで自分ひとりで造っているわけではない、栽培農家も一緒に造っている、ということを伝えたいと。

アウサスのエチケット

「テロワール(土地)も大事だが、テロワールに携わっている人が大事」という言葉が印象的だった。
それはきっと彼のワインをリリースするまでに支えてくれた多くの友人や仲間への感謝から出た最上級の表現なのだろう。
確かにどんなに優れた土地や気候その他条件がそろっていても最後に昇華させるのは「人」だ。

ハビエルいわく、この地域のワインは力強くもエレガントでもいかように造れるが自分はエレガントさを求めているとのこと。

「テロワール(土地)も大事だがテロワールに携わっている人が大事」とハビエルさん(写真右)

ベガシシリアを抜けて肩の荷がおりたのだろうか、物腰や表情がやわらかく話し方もフランクで気さく、そして何よりも生き生きと語る眼差しから情熱はそのまま、さらに充実している毎日が想像できる。
エチケットの両手はぶどうを慈しむ人の手だろうか、大地に根差したぶどうの芽が花開くようにも見える。

様々な可能性や始まりを想起させるスタートにふさわしい彼の新しいワイン。再出発に乾杯したい。

この生産者について詳しく知る

ウニコを造り続けていた醸造家ハビエルの集大成

醸造家のハビエル・アウサスはスペインの最高峰、ボデガス・ベガ・シシリアの醸造長を25年勤め、2015年に退職。フランスやスペインの著名なワイナリーのコンサルタントをしていましたが自らのプロジェクト「アウサス」を立ち上げ2016年がファーストヴィンテージ。長年の経験から今も良好な関係を築いているリベラ・デル・ドゥエロの栽培農家から優れたぶどうを手に入れ、それぞれの畑の特徴を活かしてアッサンブラージュする。(畑はブルゴスのモラディーリョ、ロア、ナバデロアなど) ラベルの「インテルプレタシオン」はinterpretación=「介入」「(自分なりの)解釈・演出」という意味でその年のぶどうにどう自分が関わっていくか、自分なりに表現するとこうです、というあくまで自分ひとりで造っているわけではない、栽培農家も一緒に造っている、ということを伝えたいから。

彼のフィロソフィーは主に以下の3つがポイント。
・ピュアな果実味+樽(ただし樽感はですぎずほのかな程度)
・フレッシュさ、生き生きとした酸
・口の中を広がる上質のタンニンとエレガントなワイン
これらを求める彼のスタイルは今後も期待が高まります。

生産者詳細ページ
https://milliontd.co.jp/product/bodega-y-vinedo-ausas/

シェアしていただけるとうれしいです!